NBAにおけるデータ分析の活用について

この記事は「スポーツアナリティクス Advent Calendar 2020」の13日目の記事です。

adventar.org

概要

この記事ではプロバスケットにおける世界最高峰のリーグである「NBAでどのようにデータ分析が活用されているのか」についてざっくりとした紹介をしてみたいと思います。

近年プロスポーツにおいてデータ分析が重宝されてきていることは、多くの方が認識していることだと思います。

国内においては特に野球などで注目を浴びていますが、あまりバスケット×データ分析に関連する日本語記事が見受けられていない気がしたので、今回のアドベントカレンダーへの寄稿を機にざっくりまとめてみようよ思いました。

参考としたリソースとしては、主に下記の記事・動画を参考にしています。

この記事をきっかけにバスケ×データ分析に興味をもっていただけると幸いです。

NBAにおけるデータ分析の活用事例

昨今スポーツにおいてデータ分析の価値は非常に高まってきていることは、多くの方にとって自明になりつつあると思います。NBAも例外ではなく、現在ではほぼすべての球団に分析部署が設けられています。 ここからはどのような文脈でデータ分析が活用されているのかについて、ざっくりと紹介していきます。

https://onlinedsa.merrimack.edu/nba-analytics-changing-basketball/

knowledge.wharton.upenn.edu

体調管理

最初はオフコートでの活用事例になります。NBAのシーズンは他の競技と同じく一つのシーズンが非常に長く、通常のレギュラーシーズンのみで82試合、プレーオフも含めるとなるとさらに試合数が多くなります。 (注意:昨シーズンや今シーズンはcovid-19の影響で変動があります。)

そのような長期戦を戦い抜くために、選手の体調管理を正確に行うために健康に関連するデータが常にモニタリングされています。プレイオフなどに向けてピークを調整し疲労を軽減させる目的や、過去の選手の怪我の状況などから判断して、怪我を防止するために休ませるケースが多いです。

“[Analytics] are tracking every movement of those players…. It’s not just that they’re moving on the court during games, but during practice.” by Adam Silver

The NBA’s Adam Silver: How Analytics Is Transforming Basketball - Knowledge@Wharton

これらの動きを加速させるためにも、リーグ側から、試合中だけでなくチームでの練習時にも体調をモニタリングするデバイスの着用をしているようです。

knowledge.wharton.upenn.edu

www.businessinsider.com

ショットセレクション

このセクションでは戦略により直接的に関連するテーマを取り上げます。その一つが、ショットセレクションです。

昨今では、NBAにおいて外角からのシュートが多くなってきて、より多くの3Pointシュートが打たれるようになってきています。

shottracker.com

こちらの記事でも紹介されていますが、1979-80シーズンでは一試合平均2.8本の3ポイントシュートしか打たれていなかったのが、2017-18シーズンでは、29.0本のシュートが打たれているということです。

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一試合平均3ポイントシュート試投数

これらの外角のシュートが近年加速度的に多くなってきている理由としては、チームの後ろにいるデータ分析チームが要因であるといわれています。

また、このムーブメントを起こした一人がDaryl Morey氏という方で、野球のデータ分析で有名な"Money Ball"になぞらえて、この3ポイントシュートをより多く打つ戦術を「Morey Ball」と呼びます。

digital.hbs.edu

"Morey Ball"の基本的なアイディアは以下のようになっています。

Three-point shots in basketball are more difficult because they are further away from the basket, but Morey recognized that the 50% uplift in points received for the three-point shot (compared to a two-point shot) made it more mathematically efficient than almost all two-point shots other than dunks and lay-ups.

詳細はこちら。

「他のミドルレンジからのショットと比較して3ポイントシュートは難しく成功率も低いが、期待値として得られる得点はおよそ50%高いことが分析から判明している。」

これらの理論に基づいて、昨今の強豪チームはより多くの3ポイントシュートを打つことを前提に戦略を組み立てています。

www.doubleclutch.uk

fivethirtyeight.com

まとめ & NBAデータ分析に関連するおすすめリソース

事例の紹介は以上となります。コートの内外でも様々な分析が行われいますが、今回は二つ事例を紹介しました。

今年は、バスケのデータ分析にかかわる本が発売されたりしましたし、まだまだ発展していく余地があると思うので、ぜひおすすめのバスケット×データ分析に関連するリソースがあれば教えてほしいです。

以上。