『未来のイヴ』 読書感想

(この記事はネタバレを含んでいます。)
大好きな攻殻機動隊の映画『イノセンス』に大きな影響を与えた本、象徴主義のフランス人作家ヴィリエ・ド・リラダン作の未来のイヴを読みました。
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映画の冒頭でも出てくる有名な引用

我々の神々も我々の希望も、もはや科学的にしか考えられなくなってしまった以上、どうして我々の恋愛もまた同じく科学的に考えてはならぬのでしょうか

異なった訳し方がされているのですが、とても印象的なこの引用とともに、映画は始まっていきます。


さらにこのような引用のみではなく、本編の重要なファクターである所有者に対して殺人を起こすセクサロイドも、紹介する本のなかの重要なキャラクターがオリジナルとなっています。

あらすじ
少々本自体は難しい漢字や表現が含まれていて最初は読み進めるのに手間取りましたが、慣れてくると結構サクサク読めましたね。
本の流れとして、重要な登場するキャラクターはそれほど多くありません。発明家エジソンの元に、旧友の青年エワルドが訪ねてきて、失恋して自殺も考えていると告白します。エワルドが出会った女性、アリシアは外見はまさに絶世の美女であり、理想の女性像でありますが、内面に関して言うとエワルドにとって教養も無く、エワルドの前にも男がいたなどといった具合で、彼は失望してしまっています。そこでエジソンが、アダリーという名の人造人間(アンドロイド)を作って完璧な女を造ってしまおうとと提案します。
しかし、エワルドは魂の入っていない人形などには自分は癒されたり、ましてやその人形を愛せるはずがないと思っています。しかし、いざ完成したアンドロイドを拝見しコミュニケーションを図っていくに連れて人間と人形の境界線が曖昧になっていき、最終的には人形を本物の人間よりもより価値のあるものだと定義して、そのアンドロイドと人生をともに送っていくということを決断するまでに至ります。

感想
人とモノを区別するものって結局何であるのか、さらには価値っていうものは誰が決めているのか…小説の中では結局主人公は人形であるアダリーを妻にまで迎えるのですが、映画イノセンスにおいても少し内容は違えど、似たような現象が後半部分に出てきたことを思い出しました。それは映画の主人公のバトーが救済した少女に向かって彼女が利用した人形のゴーストが傷ついたということでその少女を非難するシーンです。彼にとってその時点では人形と人間は等しく扱われるべき存在であったのでしょう。
このように本でも、映画でも物事の境界線の引きどころなんかが結構問われる場面が多々ありましたね。

この前鑑賞した映画『Ex Machina』や未来のイヴに関連した作品でもアンドロイドがテーマになっている作品ってたくさんありますよね。その中でもリラダンは19世紀というとても世界的に見てもかなり早期にこのようなテーマに着目した先駆者としても評価を得ています。押井守監督はイノセンスの中で、子供を産み育てるという原始的な行為でさえも、ペットを飼って自分好みのものに調教していったり、人体の理想形を作る人形作りなどとは差異がないとさえ表現しています。今現在、実際に人間は理想の中だけではなく実際に技術的にアンドロイドのような機械を作れるようになってきていると思いますが、倫理的な課題が残されている一方で、今も二百年前も、身体や精神の理想形というものを自らの手で創造したいという欲求は変わっておらず、これからも求め続けるのでしょうね。

攻殻機動隊が好きな人には特にお勧めしたい本でした。以上。
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映画「イノセンス」、自分は理解するために数回見ました。難解な映画ですが非常に面白いです。


P.S.
最新作スカーレット・ヨハンソン主演の実写版の攻殻機動隊は全然楽しめませんでした..
アニメの攻殻機動隊ファンの皆さんはどのような感想を抱いたのだろうか。